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藤岡 美保

インストラクターだって


先日、親業の同期インストラクター5人に会って話をしてきました。既に4回の更新を終え、今も各地で活動を続けている仲間です。

行政に、地域に声を掛け親業を広めているメンバーでも、身近な人の中では思わぬ「失敗」をやっているのです

例えば、あるメンバーは、娘さんが自分でボンドを使って直そうとしていた机の汚れを、「気を利かせて」綺麗にしたところ、「私の方が綺麗に直せるのに!」と怒られたというのです。

何たる理不尽。親の想いは届かず、ここでバトルが勃発したわけですが、それでも最終的には和解へ。


この反応にしても、「折角やってあげたのに、何言ってるの?」から感情がエスカレートして、親の気持ちのわからない偏屈な子どもとして「あんたいつもそうだ」という結論を出して、子どもをそう扱うとしたら不幸なことです。

その人は「お母さんがやったことに文句をつけたいのね」と返したところから、「丁寧に綺麗にしたかった」という子どもの良さを聞きだすことが出来た時点で、怒りがだいぶん収まったのです。


またある人は、うちで食べたパスタの味が強烈で、それを夫に「このパスタ、凄く辛い」と言った。

それに対しての返答は「前にお前がこれを『きしめんみたい』と言ったから、俺は買ってきてない」というもの。

そうかそんなに辛いのか、くらいの返事を無意識に求めていたのに、まったく会話がかみ合わず??が飛んだというもの。

そんなこと言ったことも全く覚えていなかったけれど、もしそう言ったのならそれからずっと、良いと思って買ったパスタをけなされたと感じてもやもやしていたのだということがやっとわかった、というのです。

「きしめんみたいって私は覚えてないんだけど、それを言われてずっと嫌だったんだね」という一言が、夫婦の危機(笑)を柔らかく変化させたのです。


インストラクターだって、トラブルが起きないようにはできない。

親業の提唱者ゴードン博士はそれを「真実の瞬間」だと言っています。自分自身であるために、人に迎合せず自分の感情に正直になることが基本です。


事の重要性は、トラブルが起きた時どうするか、です。

そのまま放って置いたら、感情はどんどんエスカレートしていく。

親としての思いやりを踏みにじられた悔しさや惨めさは怒りの下にどんどん押し込められてしまう。怒りは相手を打ち倒すまで続きますし、「勝手にしろ」と途中で折れても収まりません。

また、誤解にしろ、人を傷つけていたことを知るのは良いことです。言われなければわからないことはたくさんあります。言える関係であることは、いつもラブラブであるより、より親密だと言えると思います。

言い合えるというのは、相手を認めているということ。

自分の素を出せるというのはたとえ争いであったとしても、自分獲得のためには素晴らしいことだと思います。


その上でこの時相手のことを積極的に聞く、というのが本当に有効です。

「あなたはそうおもっているんだね」という一言。この「能動的な聞き方」がその後の感情処理にもとても役に立つのです。


もうひとつの事例。

とても癇癪持ちの幼稚園生くらいの年齢のお子さんがいて、ある日、お母さんたちも参加して蛙の飾りを作ることになったのです。でもその子が作ったそれをぐしゃぐしゃにして泣いて暴れた。お母さんも先生も取り押さえたのですが、子どもさんの気持ちを聞いてみた人がいてくれて、実は「お母さん、蛙、嫌い、恐い」と言ったのです。

その子は、お母さんが作りものでもこの蛙を見たら、絶対に嫌がるだろうから壊したと。

それまで、なんでこの子が暴れるのかわからなくて、周りの人にも謝ってばかりいたお母さんが、嬉しくて子どもをギュッと抱きしめたという話です。

心が育っているのを感じられるのは、言葉でも、態度でもないのかもしれない。その子なりのひょうげんがあるのかもしれない。

成長は何かが出来るようになると言うだけでなくて、見えない心の中に育っている。それを知ろうとすることが本当に親子の始まりかもしれません。

この後、その子がわかって貰った飛び切りの笑顔が、周り皆を幸せにしたということもまた、素敵な話です。


何しろ、親業は「この時はこう言いないさい」とか「聞きなさい」とは言いません。

積極的に聞く、というこの姿勢は、その人と今後いい関係でありたいかどうか、にかかっています。それがなければしなくたっていい。


でもね、実は自分のことを聞いてもらうには、先に人の話を聞かなくちゃ、という名言もこの日、出ました。

相手にも言いたいこと、聞いて欲しいこと、そうした理由、気持ちがあるのは当然です。


親業を知った人はほんの少し、人との関係を考える人。

親業を知った人はほんの少し、自分から積極的に人との関係を喜びに変えることを知っている人。

親業の三つの柱の一つ「能動的な聞き方」は、結果、自分の感情を収め、人の感情を安定させるものだと思います。


#親業 #能動的な聞き方 #トラブル回避の方法




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